【ブックレビュー】『とんこつQ&A』笑えるのに怖くて深い、今村夏子の傑作短編集

ブックレビュー

『とんこつQ&A』今村夏子[著]講談社

本の大まかな内容

ふと目に入った求人募集の張り紙に、引き寄せられるように『とんこつ』の店内に入ってしまったわたしは、不器用ながらも、大将とぼっちゃんに支えられ、とんこつの店員として成長していく。でもそれは、“彼女“がやって来るまでのことだった…。(「とんこつQ&A」)

僕には大人になった今も、忘れられない人がいた。同じ町内に住んでいた姉の同級生で、彼はとんでもない嘘つきだった…。(「嘘の道」)

普通のようで、気づいたらちょっとおかしな世界の中にいる…笑ってしまうけど、怖くてせつない…いろんな感情を呼びおこす傑作短編集。

待ちに待った、2年ぶりの新刊

「今村さん…やっぱりすごいわ…」
本書を読んで、おもわずつぶやいてしまいました。天才やなと…。

そんな、今村夏子さんの経歴は👇
❶「あたらしい娘」が2010年太宰治賞を受賞
❷同作を改題した「こちらあみ子」と新作中篇「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』(筑摩書房)で、2011年に第24回三島由紀夫賞受賞
その後、半引退状態が続いていたが、
❸2016年、西崎憲に声をかけられ、西崎が編集長をつとめる新創刊文芸誌書肆侃侃房〈たべるのがおそい〉で2年ぶりとなる新作「あひる」を発表し、第155回芥川龍之介賞候補に。
➍同作を収録した短篇集『あひる』で、第5回河合隼雄物語賞受賞
➎2017年、『星の子』で2度目の第157回芥川賞候補、第39回野間文芸新人賞受賞
➏2019年、『むらさきのスカートの女』で第161回芥川賞を受賞
                           参考サイト:ウィキペディアより
わたし
わたし

西崎憲さんが声をかけなければ、今村さんは作家復帰されていなかったかも……と思うと、西崎憲さんに感謝です!

そんな、とんでもない才能をもった作家、今村夏子さん。
本書『とんこつQ&A』は、たくさんのファンが待ちに待ていた、2年ぶりの新刊なのです!

タイトルからもう、面白い

そもそも、タイトルからして面白いですよね!
なんやねん、『とんこつQ&A』って😆✨

どんな話なのか、想像もつかないまま、読み始めると、そこには、もう今村さんにしか書けない独特の世界が広がっていました。
笑ってしまうのに、不気味さもあり、展開も予想がつかない。
いや~とにかく面白かったです。
個人的にすごいなと感じるのは、笑える部分がたくさんある、ということ。
しかも、笑わせようとしていないのに、こっちが勝手に笑ってしまっている……! 
これって、本当に素晴らしい才能だと思います。

連作じゃないのに、連作になっている?

本書には、4つの短編小説が収録されています。
最初が『とんこつQ&A』で、2作~4作目が、『嘘の道』『良夫婦』『冷たい大根の煮物』となっています。
2~4作目は、それぞれ別のお話で、登場人物も舞台も違い、もちろん各々で面白かったのですが、
読み終わってから、思い返してみると、3作品の物語に込められた想いが、すべてつながっているんじゃないか?と感じ始めました。
特に、『嘘の道』と『良夫婦』は、対(つい=2つそろって1組)ではないかと。
この2つの作品を対として受け取ると、心の深い部分に突き刺さるものがあると、感じました。
一読したときには気がつかなかったのですが、物語を反すうしてみるといろいろな気づきがあり、ハッとするものがありました。

わたし
わたし

これはぜひ、本書を読んで、実際に体感してほしいです!!

取り返しのつかない刹那…だけど

本書のオビには、こう書かれていました👇

『人間の取り返しのつかない刹那(せつな)を描いた4篇を収録』

確かに、『取り返しのつかない』ことをしてしまった人が描かれています。
本書は、そういう人たちへ、物語を通して、一つの解答を示してくれているのかな、と感じました。
わたしはそこに、厳しさとやさしさを見ました。

『取り返しのつかない』ことをしてしまった人とは、わたし自身のことだ、とも感じました。
だからこそ、今村さんが物語を通して示してくれた、“厳しさとやさしさ”に、心響きました。

読む人によって、わたしとはまた違う、さまざまな感情が揺さぶられると思います。
『とんこつQ&A』、ぜひ手に取って、読んでいただきたい! 心の底からおすすめします!

わたし
わたし

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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