【ブックレビュー】【文庫本おすすめ】『女が死ぬ』一度読んだらクセになる、ほどよいフェミニズム小説とは?

トランクに座る女性ブックレビュー

『女が死ぬ』松田青子[著]中公文庫

どんな本? おおまかな内容

少年型というだけで毛嫌いされるロボット、ある共通項をもつセクシー美女たちの懇親会、これからは「男性らしさ」の時代という世界……
だれもが無意識に持っている違和感(例えば、女らしさや男らしさ)が、独特の感覚で、そして時々くすっと笑える物語として、表現されている。そんな作品が53篇収録されている掌篇小説集。

㊟掌篇小説とは、短編小説よりもさらに短い作品のこと。

書店員さんのおすすめ本に、ハズレなし

本書『女が死ぬ』を知ったのは、本屋さんで配布されていた、『丸善ジュンク堂書店スタッフが選ぶ 夏の文庫50冊2022』のチラシでした👇

この中で、本書はこう紹介されていました👇

『とにかく松田青子さんを知ってほしい、なるべく早めに!という気持ちで選びました。(略)ほどよいフェミニズム感のこの面白さは日本の作家さんにはなかなかいらっしゃらないのでは。』

これ👆を読んでしまったら、手に取りたくなるに決まってます!
で、読んでみたら、これが、よかったんです。

『ほどよいフェミニズム感』という意味がよくわかりました。
押し付けがましくなく、淡々と進んで、時々笑っちゃうところもあるから、どんどん読めてしまうのです。
こんな世界観をもつ作家さんって、どんな人なんだろう?と、検索してみると、なんと…!!

著者の経歴に、驚いた

著者の松田青子さんは、同志社大学出身で、大学在学中の1999年に劇団「ヨーロッパ企画」に音響スタッフとして参加し、その後、2000年から役者として参加するようになったのだそう!

わたし
わたし

私自身、ヨーロッパ企画さん大好きで、よく観に行っていたので、役者時代の著者を観ていたのです😲✨

著者は、京都の「恵文社」という、独特のセンスと個性をもっていることで有名な書店で働いていたこともあるとのこと。

「ヨーロッパ企画」と「恵文社」で得てきたものと、著者自身のセンスや才能や技術が、合わさって、独特の『松田青子』という作家の世界観が生み出されるんだな、と感じました!

受賞歴、ノミネート歴がすごい!!

2008年、著者は9年間在籍したヨーロッパ企画を退団し、名前を松田青子に変更して活動するようになり、そして👇

2010年、「早稲田文学」に戯曲形式の『ウォータープルーフ嘘ばっかり!』を発表して作家デビュー。
2013年、初の単行本『スタッキング可能』を刊行、第26回三島由紀夫賞候補、第35回野間文芸新人賞候補に。
2020年、短編集「おばちゃんたちのいるところ」の英訳版が、レイ・ブラッドベリ賞の候補になった後、ファイアークラッカー賞を受賞。
2021年、世界幻想文学大賞の短編集部門も受賞。
    本書のタイトルにもなっている『女が死ぬ』が、シャーリィ・ジャクスン賞の短編部門にノミネート!

シャーリィ・ジャクスン賞とは、不穏な空気漂う作品で人気を誇った作家シャーリィ・ジャクスンの功績をたたえ創設された賞。
シャーリィ・ジャクスンの本も、「丸善ジュンク堂書店スタッフが選ぶ 夏の文庫50冊2022』に本が紹介されていました。

紹介されていた本、シャーリィ・ジャクスン著『ずっとお城で暮らしてる』のブックレビューはこちら👇

「よくわからない」の先にある、新しい感性

正直、本書の作品の中には、よくわからんな~というものもありました。
でもそれは、万人に理解されようとせず、自由にのびのびと表現されているからこそ。
もちろん、面白い作品もたくさんあり、それらには、著者ならではの味がしっかりついていて、読者はおいしく感じる😋
そういう個性をもった作品だから、日本だけでなく、海外でも注目されているのだと、思います。

本書『女が死ぬ』に収録されている53作品の中から、きっと、「新しい感性」を見つけることができるハズ! 読んでみる価値ありです!!

わたし
わたし

著者松田青子さんが超メジャーになったときに、「あ、私読んだことある。え、知らないの? 名前、せいこじゃなくて、あおこと読むんだよ」と、マウント取っちゃいましょー笑

ほどよいフェミニズムが面白い

本書『女が死ぬ』には、53篇も入っているので、さまざま作品があるのですが、わたしが面白いな、と思ったものは、書店員さんも書かれていた「ほどよいフェミニズム」を感じられる作品でした。
作品名を挙げると👇
『あなたの好きな少女が嫌い』
 世間一般(特に男性)にとっての「少女」は、❝要望❞されて存在する生き物なんだと気づかされる。

『ヴィクトリアの秘密』
   男の子になりたいと願っているヴィクトリアのつぶやきに、はっとさせられました👇

わかんないけど、どうしてこっちがカミングアウトする側なんだろう。彼らだって、カミングアウトすべきことがあるんじゃないのかな。実は差別主義者ですとか、一度も募金したことがありませんとか、毎日ネットで悪口を書いてますとか。どうして彼らはカミングアウトされるのをのうのうと待っているんだろう。

『女が死ぬ』松田青子[著]中公文庫 88~89ページ

巻末の「著者本人のひと言解説」も面白い 

本書は、文庫では珍しく、巻末に他者が書いた解説がありません。
代わりに、53作品それぞれについて、著者本人のひと言解説があって、それも面白いです。
どうしてこの作品を書いたのか、という創作の動機や物語の意図、中には「これはなんで書いたんでしょうかね」というひと言解説もあります笑。

おすすめしたいのは、このひと言解説は、本編を読み終わってから読んだ方がいい、ということ。
いろいろ想像して読む作品が多いので、自分が考えていたことは当たっていたのか、と、最後に「著者本人と、答え合わせができる!」 そんな気分が味わえますよ!

新しい感性に出会いたいなら、ぜひ!

以上が、『女が死ぬ』のブックレビューでした。

今回、初めて知った作家さんの初めて読んだ小説で、いろいろと驚きや発見のあるいい読書ができました!
改めて、書店員さんのおすすめ本は、読んでみる価値ありだな、と気づかされました。
新しい感性に出会いたい、という方は、ぜひ読んでみてください!!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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