『独り居の日記』自分自身と、とことん向き合う覚悟とは?【ブックレビュー】

ブックレビュー

『独り居の日記』メイ・サートン[著]武田尚子[訳]みすず書房

本の大まかな内容

1600年代後半。詩人で小説家のメイ・サートンは、小説のなかで自らの同性愛を明らかにしたことで、大学の職を追われる。さらに、パートナーとの別離、父親の死も重なり、失意の底にあったサートンは、世間から距離を置き、ひたすら自分の内面を見つめることで、新しい出発をしようと、まったく未知の片田舎で生活を始める……。そのころの1年間の記録。

感想

もともと日記ものは大好きなのですが、メイ・サートンという人の困難(同性愛という理由で職を追われり、出版中止になったり)を知り、そんな作家の『独り居の日記』(タイトルもかっこいい!)って、どんなのだろう? とめちゃくちゃ読んでみたくなりました!

日記は、『やっと一人になれた。❝ほんとうの生活❞がまた始まる』と書きつづられていきます。

❝本当の生活❞とは、田舎で一人になって、とことん自分と向き合うこと。

とはいえ、うまく自分と向き合えるときもあれば、ちょっした来客や出かける予定が入り、ペースが乱れたり、癇癪(かんしゃく)を起こして大切な人とやりあってしまい、大後悔することもあったりと、ここでも困難な出来事にぶつかります。
それでも著者は、辛抱強く自分と向き合い、文章へと落としていく……。

読者としては、そんな著者の心の中に入り込んで、激しい雨に打たれたり、はたまた穏やかな太陽に照らされたりしているような気分になってしまう……。なんとも不思議な読書体験になりました。

著者のメイ・サートンって、『繊細さん』?

いろいろあって、静かな環境に身を置いて、とことん自分と向き合うぞー! といき込んで片田舎の家に越してきた著者サートンでしたが、ふと不安がよぎります。

向き合った結果、何も見い出せなかったら……と。

そして、そうならないために『日記を書くこと』にしたのだ、という。

もう長いこと、私にとって、人との出会いはことごとくぶつかりあいだった。私は感じすぎ、意識しすぎ、もっとも単純な会話のあとでさえ、その反響でくたくたになった。しかし深いぶつかりあいは実はいつも、生まれ変われていない私、人を苦しめつつみずからも苦しんでいる私自身とのあいだに起こっていたのだ。

『独り居の日記』メイ・サートン[著]武田尚子[訳]みすず書房 6ページ

著者は、自分のことを『感じすぎ』で『意識しすぎ』で『相手の反応を異様に気にする』タイプだと自覚している……これって、今でいう『繊細さん』なのでは?

繊細さんとは……人の気持ちや場の雰囲気、音や光などに、ひといちばい敏感な人のこと。
HSP(Highly Sensitive Personの略)と呼ばれる、アメリカの心理学者、エレイン・アーロン博士が提唱した概念。

著者サートンは、うつ病ももっていたということなので、『繊細さん』だけでひとくくりにはできないのですが、そんな彼女が、自分ととことん向き合う覚悟を決め、実行し、その心の機微を書き残した……。
詩人で小説家だから、その文章は、はっとするほど美しいです。
作品として素晴らしいとはいえ、心の裏側まで世間に知らしめてしまうのは、とても勇気のいることだと思います。誰にも知られたくないこと、隠しておきたかったこともあったでしょう。

ブログ主のわたしも、めちゃくちゃ『繊細さん』です。なので、著者の『一人になりたい』『自分の内面を見たい』という気持ち、ものすごく共感できました。
そして、その実行力と、自分の心を裸にして日記文学として世に送り出したことに、尊敬しました✨

自然の中に身を置き、たった一人で自分と向き合った大先輩の作品と言えば、ソローの『森の生活』も外せないところ
よかったら、こちらもご覧ください👇👇

そして、鴨長明の『方丈記』も通ずるところがあると思います。
よろしければ、こちらも👇👇

悪あがきそのものに意味がある

著者は、『自分との対話』を続けていくなかで、見い出したことがありました。それは👇👇

私が作家として、❝成功❞しようとしまいと、そのあがきそのものには意味があること、神経の衰弱にせよ、気難しさからくる失敗にせよ、失敗さえも意味をもつと感じられるようになった。

『独り居の日記』メイ・サートン[著]武田尚子[訳]みすず書房 43ページ

こう考えられるようになったら、もう無敵な感じがします。

とはいえ、上👆の文章を書いたあとにも、何度も落ち込んだり、激高したり、苦悩することが起こるのですが、でも、一度👆のような真理をつかむことができた著者は、『自分の時間』を、力のかぎりをつくして生きていくことを自分に誓います。

そして、この田舎の容赦のない自然(真冬の室内温度が零下29度🥶)や動物たち(野良猫を辛抱強く見守り、やっと室内に入れることができたり)と関わっていくうちに、著者は、本当の意味での『生きる』ことを実感していく……。

読んでいて、わたし自身も、なんだか満たされていくような気持ちにもなれました。

わたし
わたし

もっと自然に触れなて、『生きる』感覚を磨いていこう!と思えました✨

おわりに

以上、『独り居の日記』のブックレビューでした。

わたし
わたし

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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