『名作なんか、こわくない』人気作家が教えてくれる、名作古典のガイドブック【ブックレビュー】

名作なんか、こわくない サムネ画像ブックレビュー

『名作なんか、こわくない』柚木麻子[著]PHP研究所

本の大まかな内容

『ナイルパーチの女子会』や『BUTTER』など、人気作をたくさん出され、何度も直木賞候補になっている作家、柚木麻子さんによる、エッセイ+読書ガイド。
案内してくれる本は、フランス、日本、イギリス、アメリカの古典名作たち。
むずかしそうで手を出せなかった❝古典❞ですが、柚木麻子さんという作家の視線で語られると「面白そう!」「読んでみたい!」と思ってしまいます。
気づけば、ポチってしまいそうになること必至です!

わたし
わたし

読んだことがある作品は別の読み方を感じられ、名前だけ知っていた作品やまったく知らなかった作品はどんな内容なのかが垣間見れ、新しい発見しまくりで、刺激をもらえた本でした!

こんな方におすすめ!

💎古典や昔の名作小説を読みたいけど、何を読んだらいいかわからない方
💎作家を目指している方 
💎実力ある作家さんがどう本を読むのか、を知りたい方

わたし
わたし

本の紹介とともに、明るくおもしろいエピソードも満載で、人気作家さんのエッセイ本としても十分楽しめました!

古典作品って、こんなにおもしろかったんだ!

小説は好きだけど、古典にはなかなか手を出せなかった💦 という人はわりと多いのでは? わたしもその一人でした。
でも、本書を読んだら、古典がぐっと身近な存在になりました。
それは、本の内容とともに書かれている、柚木さんの日常の出来事がおもしろかったから✨

たとえば、イギリス文学篇のチャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』では、ご自身の確定申告の困難さを、日本文学篇の瀬戸内寂聴『夏の終り』では、女性作家としての苦悩を、物語の内容と重ねて書かれていて、興味深く読むことができました。

そしてもう一つ、わかりやすい物語の説明と、作品の魅力ポイントが絶妙だということ。
どういう作品か、というのが1行くらい簡潔な文章で書かれていて、それだけでも「おもしろそう!」と、惹きこまれる!!
内容からピックアップされる一部分を読むだけでも、すーっと物語の世界に入ってしまい「もっと読みたい!」と思わせてくれる!!

古典って、こんなに面白いんだ~と、素直に思いました。

柚木さんの小説に出てくる魅力的な女性たちは、名作古典をたくさん読んできた蓄積も大きいんだな、と感じることができました。

今より不自由だった時代のヒロインたちが、勇気をくれる

本書は、『フランス文学篇』『日本文学篇』『イギリス文学篇』『アメリカ文学篇』という4つのカテゴリーで構成されていて、全部で57の作品が紹介されています。

著者の柚木さんが大学でフランス文学を専攻されていたからなのか、『フランス文学篇』から始まります。

柚木さんは、フランス文学の魅力について、こう書かれています👇

フランス古典文学が好きなのは修道院出身の貴族の子女が登場することが多いから、とはじめに書いたと思う。世間知らずのくせに、男心を平気で踏んづけ、あさっての方向に暴走しがちな令嬢達に、ヒリヒリワクワクさせられる。もう一つの理由に「ガツガツしている、余裕のない人に対して寛容である」ということが挙げられると思う。

『名作なんか、こわくない』柚木麻子[著]PHP研究所 

古典を読んでいると、自分が解き放たれる瞬間が何度も訪れる。今よりもっともっと自由が少なかった時代に、これだけ心のおもむくままに生きたヒロイン達。それだけで救われ、勇気付けられるのだ。

『名作なんか、こわくない』柚木麻子[著]PHP研究所 

小説の中のヒロインに勇気をもらったり、生き方を垣間見たり、というような読み方ができるフランス文学。個人的に、この4つのカテゴリーの中で一番触れてこなかったジャンルだったので、がぜん興味がわきました!

読みたいと思った作品は…

モリエール『女房学校』(アイドルが育ての親を裏切る話)

フランソワ・モーリアック『テレーズ・デスケルウ』(殺意の理由を探す追憶の旅の話)

わたし
わたし

👆読みたいと思った作品は、本書で初めて知りました! 本書を手に取ってなかったら、きっと死ぬまで知らなかったと思うので、本書に出会ってラッキーでした😂

魅力の切り取り方が面白い

フランス文学篇の次にくるのが、日本文学篇。
日本なので、さすがに知っていたり、読んだこともある作品もあり、まったく未知だったフランス文学とは違う親近感を持って読みましたが、
自分の読み方とはまた違う視線で、作品の魅力を切り取っているところがおもしろいな、と思いました。

『二十四の瞳』の場合


この作品に対してわたしは、後半の戦後のシーンが心に残っていて、悲しい印象しか残ってなかったのですが、本書では、その悲しみと、小説の始まりに描かれている、新学期をむかえる主人公の新任先生と生徒たちのキラキラ感とのコントラストに注目されていた。それでわたしも、始まり部分を思い出し、夢や希望があった小学生たちに、戦争という暗い影が忍び寄り、覆いかぶさり、いろいろなものを奪い取って、去っていったんだ、という流れを改めて感じることができました。

最初の、キラキラの新学期があったからこそ、その後の暗い時代をより暗く見せることができた、という物語の構成を理解でき、なるほどな~と感心しました。

わたし
わたし

作家さんの本の読み方を、少し感じられた気がして、うれしくなりました!

同時代の名作『風と共に去りぬ」と『若草物語』

日本文学篇の次に、イギリス文学篇がきて、ラストはアメリカ文学篇でしめくくられる本書。

特におもしろかったのは、アメリカ文学篇の『風と共に去りぬ』と『若草物語』を比較しているところ

『風と共に去りぬ』では、南部の女性(主人公スカーレット)、『若草物語』では、北部の女性(主人公ジョー)が描かれていますが、同時代なのに、北と南との価値観の違いに驚きつつも、大きな共通点にも着目されています。

家族を守るために男役を担わなければならなかった「自慢の娘」の苦しさ、そして同時に努力によってやすやすと父を超えてしまった才能ある女の子の恍惚と孤独がそこにはあるのだ。

『名作なんか、こわくない』柚木麻子[著]PHP研究所 
わたし
わたし

小説を深く読む醍醐味って、こういうことなんだな~

おわりに

柚木麻子さんの作品『BUTTER』が、すっごくおもしろかったので、他の本も読んでみたく、本書を手に取りました。
『BUTTER』を読んだとき、女性の描き方に凄味を感じ、心がふるえましたが、そういう魅力的で生きた人物を書ける力やセンスは、名作古典をたくさん読まれてきたことも大きく影響しているのだなと、納得できました。

それにしても、また読みたい本が増えてしまって、どうしましょ、と思っております😅
でも、読書って、やっぱり素晴らしいな~と、再確認でき、そう思わせてくれた本書に出会えて、ラッキーでした!

わたし
わたし

本当に「名作なんか、こわくない!」って思いました✨

わたし
わたし

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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