『ファスト&スロー あなたの意志はどのように決まるのか?』ノーベル経済学賞受賞から待つこと10年。待望かつ必読の本です!

ブックレビュー

『ファスト&スロー あなたの意志はどのように決まるのか?上下巻』ダニエル・カーネマン[著]村井章子[訳]早川書房

本の大まかな内容

行動経済学の創始者の一人であり、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授が、みずからの研究を誠実でわかりやすい言葉で解説。
毎日無意識に行っている何百何千もの決定を、『合理的で妥当』だとわたしたちは思っているけれど、本当はしばしば間違っている……。
そんな「認知的錯覚」の実例や分類がたくさん書かれている、読みごたえ抜群の上下巻です。

感想

行動経済学の本をいろいろ読んでいくうちに、この分野でノーベル賞を取った人がいて、ご本人が書かれた本があることを知り、喜び勇んで本書を手に取りました。
正直、むずかしかったのですが、ただの本好き主婦が読んでも理解できる言葉で書かれているのがうれしかった。
本を読んだだけなのに、賢くなったような気がしています(笑)
ノーベル経済学賞を受賞されたのは2002年で、本書が出版されたのは、原書が2011年(日本語版は2012年)。
待望の一冊だったんですね!!
おもしろくて役に立つ学問が、徐々に形づくられていく雰囲気も感じられて、学問の世界って、いいな~と思いました

わたし
わたし

大人になってから、大学に入る人の気持ちがわかりました🌱 学ぶって、おもしろい💡

『笑顔になれば楽しくなる』は本当だった

『行動を先にすれば、気持ちは後からついてくる』という今では常識的な現象も、すでに実験で確かめられていた、ということを本書を読んで知りました。

ある実験では、オーディオ装置の音質チェックのためと称して、被験者にヘッドホンでメッセージを聞くように指示した。ただ聞くのではなく、音のゆがみを調べるために、聞きながら頭を何度も動かす。被験者の半数は頭を上下に、残り半数は左右に振る。この条件でラジオの論説番組を聞いてもらったところ、上下すなわち頷く動作をしたグループは論説に賛成し、左右すなわち否定の動作をしたグループは反対した。

『ファスト&スロー あなたの意志はどのように決まるのか?』ダニエル・カーネマン[著]村井章子[訳]早川書房
人に親切に行動する ⇒ 自分自身が実際にやさしく親切な気持ちになれる
👉👉👉👉👉 情けは人のためならず も本当なんですね✨

すごく納得した『後知恵バイアス』

たとえば、同レベルのスポーツチームAとBが試合をして、意外にもAが圧勝したら、わたしたちは「AはBよりもずっと強い」と認識して、「実はAの方が強いと思っていた」的な思考になるんだそうです。

人間の脳の一般的な限界として、過去における自分の理解の状態や過去に持っていた自分の意見を正確に再構築できないことが挙げられる。新たな世界観をたとえ部分的にせよ採用したとたん、その直前まで自分がどう考えていたのか、もはやほとんど思い出せなくなってしまうのである。

『ファスト&スロー あなたの意志はどのように決まるのか?』ダニエル・カーネマン[著]村井章子[訳]早川書房

『後知恵バイアス』は、意思決定者にものすごく厳しい

たとえば、手術で予想外の事故が起こり、失敗したとき ⇒ 元からリスクが高い手術だったとわかっていたはず、と責められる(『結果バイアス』)

結果が悪かった場合 ⇒ 非難する前兆があったにでは?と責める
結果がよかった場合 ⇒ 賞賛しないあとから見れば、あたりまえのように感じる

結果が重大であるほど、後知恵バイアスは大きくなる。たとえば9・11同時テロのように悲劇的な事件では、事前に予測できなかった政府高官を、怠慢か、でなければ無能だと決めつけやすい。

『ファスト&スロー あなたの意志はどのように決まるのか?』ダニエル・カーネマン[著]村井章子[訳]早川書房

思い返すと、今までいろいろなニュースを見て、自分も『後知恵バイアス』で見ていたな~と反省💦
本書を読んで『後知恵バイアス』を学んだので、これからは、思考がそっち方向へ進みそうになったら、踏みとどめられます💪✨

目標実現に絶対役立つ『死亡前死因分析』

あなたの家の近所に、半年くらいでころころと変わる店舗物件が、一軒くらいあるのではないでしょうか?
何人ものオーナーがそれぞれのショップを出しては売り上げ不振で閉店する、というのを繰り返しているのにも関わらず、また別の人が借りて、新しい店をオープンさせる……。
新オーナーは「自分はうまくやれる」と思いこんでしまう
こういう楽観主義は、魅力的でおちいってしまいやすいのだそう。

失敗が見えにくくなる楽観主義をうまく抑える方法として有効なのが『死亡前死因分析』です!

💎やり方の例
❶ 1年後に叶えたい目標と計画を決める
❷ その目標のことをよく知っている人たちに、こう聞いてみる
 「今が1年後だと想像してください。目標に向かって計画を実行したわたしは、大失敗してしまいました。どんなふうに失敗したのか、その経過を教えてください」
❸ そのアドバイスを聞き、計画を修正し、より良いやり方で目標に向かう

👆これ、すごく合理的でいい方法だと思いませんか?
ポイントは、『目標のことをよく知ってる人たちに聞く』こと!
親とかに聞くと、ネガティブな反応が返ってくる可能性が高いので、気をつけましょう。
親の言葉は、子どもにとっては呪いのように重く、行動すること自体やめてしまいかねません。

周りに聞けそうな人がいないときは、ネットや本を活用して、「うまくいく」の確実性を高めていくといいですね👍✨

意外なところで日本経済の低迷を知る

本書では、たくさんの実験が書かれています。
よくあるのが、被験者に質問をして答えてもらう、というアンケート的な実験。
その中の質問に、こんな一文がありました。
「コピー店の店員が、時給9ドルで働いていました」
これに対して著者が「1984年のものなので、ドル表示はおよそ2倍にして読んでほしい」と書き加えられていました。
1ドル=100円として、9ドルは900円……時給9ドルって、今の日本の時給とそんなに変わらないのでは??
2倍の1800円ではけっしてない!!

今の日本の時給が、1984年の頃のアメリカ(この質問はカナダで行われたものですが)と同じレベルということにびっくりしてしまいました。

こんなところで、日本の経済状態を知ることになるなんて……。
いろんな角度からの学びがある読書って、やっぱりすごいな~と思った次第です😓

おわりに

本書は上下巻あり、わかりやすく書かれているとはいえ、中身の濃い濃い本なので、読むのに時間がかかってしまいました💦
でもそれが、大学の講義を受けているような感覚にもなり、本当に少し賢くなったような気がしてます(笑)

『行動経済学』をもっと本格的に知りたいという方は、必読の一冊だと思います!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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