『対岸の家事』たかが家事だと、あなどらないで。限界がくる前に「助けて」と言える世の中にするには?【読書記録】

対岸の家事サムネ画像ブックレビュー

『対岸の家事』朱野帰子[著]講談社文庫

こんな方におすすめ

◎『家事』について、少しでも悩んだり、もやもやしたことがある方
◎子育て真っ最中の方
◎自分が子供の頃、家事をしなかった方、手伝わなかった方

『家事』を『他人事』ではなく、『我が事』として考えることが、今『家事』で苦しんでいる誰かの助けになる。
そんな大事なことを教えてくれる本でした!

本の大まかな内容

専業主婦を仕事にすると選んだ村上詩穂は、夫と2歳の娘と暮らしている。ママ友を作りたいが、周囲は共働きで超多忙なママばかり。その上、詩穂が専業主婦だと知ると、陰口を叩いた。特に詩穂の家の隣に住む、長野礼子がきつい言葉でさげすむのを、詩穂は聞いてしまった……。

しばらくして、礼子が2人の子供の世話で手いっぱいになっているところに偶然居合わせた詩穂は、助けの手を差し伸べる。
その夜、詩穂がゴミ出しに出ると、礼子がふらふらとマンションの屋上へ上がっていくところを見かける。
詩穂は、そっとあとを追っていくが……。

感想

アジサイが、印象的な場面で登場します

友達にすすめられて、読んでみよっかな、と手に取りました。

初めての著者さんだったので、ちゃんと読めるかな? 相性大丈夫かな? と考えたり、
専業主婦の小説だとわかり、既婚だけど子どもがいないわたしにはあんまり関係ない話かな、などといろいろ考えながら読み始めましたが、いやいや関係めちゃありで面白かった!

子育てについて書かれている部分も多いのですが、その根底にある『家事』という仕事の多さ、むずかしさがきちんと描かれていて、その部分に共鳴することができたからだと思います。

わたし自身、結婚して初めて、『家事』がこんなに時間を取られる作業だったのか、とびっくりした経験がありました。
時間が『かかる』ではなく、『取られる』という感覚に焦りました。

しかもやっぱり夫よりも、嫁のわたしの方が絶対的に家事の量は多いという不平等に腹が立ちました。

今は、いろいろ工夫したり、あきらめたり、調整したりしながら、自分が納得いく仕組みでやれていますが、そこにたどりつくまでは『家事』についてもやもや考える時間が長かった。
そして同時に、実家にいたときにはあたりまえだったことは、母親がすべてやってくれていたんだと、反省する時間でもありました。

この本は、そんな『家事』についていろいろ考えていた、少し前の自分を思い出させてくれ、そして『家事』で深く悩んで限界に達している人たちが、今現在たくさんいることを教えてくれました。

特に小さなお子さんをお持ちの親御さんは、本当に大変なんだなと驚かされました。

限界に達している人たちのためにできることはないか?

本書を読み、今苦しんでいる人たちにとって、生きやすい世の中にするために、自分に何ができるんだろう? と考えました。

出た答えは、いろんな場面で『選択』をするときに、苦しんでいる彼女ら彼らのことを『意識』する、というもの。たとえば、
👇👇👇
選挙で投票する人は、子育てのことをちゃんと考えている候補者にする、とか。

自分にできることは小さくて些細なことかもしれないけど、コツコツ続けていくしかない!
それが、やさしい世界に近づく一歩だと思っています✨

わたし
わたし

友達にすすめられなければ、読まなかった本📖 友達に感謝です✨

悪口を言われた相手なのに、助ける主人公がいい!

主人公詩穂は、隣人の礼子が、玄関で下の子を抱えてぼうっと立ち尽くしているのを見かけた。
過去に、専業主婦であることについて、きつい陰口を叩かれた相手だったが、詩穂は救いの手を差し伸べる。
礼子は、2人の幼い子供の世話を一生懸命していましたが、その日は下の子が保育園で熱を出したので、会社を早退して迎えに行き、上の子と連れて帰り、病院に行こうとしていたところ、上の子が家の内から鍵をかけてしまい、中に入れず、どうしようもできない状態だったのだ。
すると、詩穂がベランダから礼子の家に入り、鍵を開けてあげた上、小児科に連れていく間、上の子を預かると申し出る。礼子はその言葉に甘えることに……。

詩穂にも、礼子と同じようにつらい時期があった。だから、礼子の『助けて』と言いたいけど言えない、言う相手がわからないという気持ちがわかるから、こちらから手を差し伸べた。

たとえ傷つけられた相手でも、助ける詩穂の人柄に好感。

半径5メートルの中にいる人だけでも、気にかけて、困っているようなら助ける。
そんな、詩穂のようなやさしいおせっかいを見習いたいなと思いました。

わたし
わたし

みんなが隣人を助けたら、みんなが助け助けられる状態になる。そんないい循環が生み出せたら、素敵な世界になりますね🍀

共働きや育児休暇が、リアルに描かれている

主人公は、専業主婦の詩穂なのですが、隣人の礼子や詩穂のパパ友の達也が語り部になる章があるのも、本書の面白かったポイントでした。

ワーキングマザーや育児休暇を取った男性が、どんな一日を送っているのか、世間的にどういう空気感の中に生きているのかなど、本人たちにしかわからないであろうことがリアルに描かれていて、いろいろ考えさせられました。

こんなにしんどかったら、そりゃ少子化にもなるわ、と改めて納得。

そんな中でも、子どもを産み、育てている人たちに、感謝しないといけないな、と思いました。

『家事』は『シェア』すれば、みんな幸せ

本書を最後まで読んで、改めて思ったことは、『家事』を『チームの仕事』という意識で『シェア』すればいいのではないか、ということ。

たとえば、会社とかで、今まで自分がやってきた仕事を後輩に教えたけど、全然できないのが見ていられなくてイライラするから、結局自分がやった方が早いと、その仕事を自分に戻してしまう。
その結果、自分の仕事がどんどん増え、手いっぱいになっていく……というの、ありますよね?

それって、自分も後輩も、そして会社にとっても損。誰も幸せにならない悪パターン。
それと同じことが『家事』でも起きている、と思うのです。

『家事』のすべてを嫁がやってしまう ⇒ 何もできない夫(や子供たち)ができてしまう

わたし自身の経験では、また別の悪パターンがありました。
それは、『家事』を手抜きをすると、わたしの心が苦しいから手を抜けない、というもの。
なんで苦しいのか? それは、手抜きをしたことを一番責めているのは、自分だから!

『家事』を手抜きする
 ↓↓↓
 手抜きをした自分が自分で許せない
 できない嫁だと思われるのが怖い
 ↓↓↓
『手抜きをする』=『自分が苦しい』
 ↓↓↓
 だから手抜きをしない

↑↑↑こういう思考パターンになっていることに気づきました。
※手抜きをしても夫に責められたことがないのに、顔色を見て、内心怒ってるに違いない、と勝手に思い込んだりしていました😅

手を抜かないのは、自分が苦しいのが嫌だったから。
そう気づいてから、頑張って手抜きをするようにしました。心が苦しくても、ざわついても、やってしまった方が気が楽だとわかっていても、我慢して手を抜く。

キャラ付けみたいに、『わたしはカンペキじゃないですよ』という印象を、外にも内にも発信する。

すると、夫が自分で台所に立つ時間が自然と長くなりました。今では夕飯は、自分で用意するようになりました。

そういうルーティーンになって長いですが、まだ心はざわつきます。でも、我慢して手伝いません。
夫を会社の後輩だと思えば、一人で仕事ができるようになってもらわないと、組織(家族)が成り立ちません。

それに、将来なにがあるかもわかりません。
突然単身赴任するかもしれないし、嫁が急に入院するかもしれないし。

そのときにガスコンロのつけ方さえわからないようじゃ、夫は生きていけません。

『家事』は『シェア』しよう!

👆👆それが、みんなが幸せになる方法なのだと、本書を読んで、改めて確信できました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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