『戦場のコックたち』ミステリーとリアルな戦場描写に惹きこまれ、最後に落涙。最上級の読書体験しました【読書記録】

戦場のコックたちサムネ画像ブックレビュー

『戦場のコックたち』深緑野分[著]創元推理文庫

本の大まかな内容

19歳のティムは、戦闘に参加しながら、コックの仕事もこなす、合衆国の特技兵、戦場のコックだった。
いつも冷静な、眼鏡のエドをはじめ、個性豊かな仲間たちと支え合いながら、ハードな任務をこなしていたが、不可解な出来事が次々に起こる。
すると、エドがするどい洞察力をみせて、謎を解明していく……。

戦場という『非日常』の中の『日常の謎』を描いたミステリーも魅力の、リアルな戦争小説。

感想

戦場に出てくるコーヒーが印象的でした

戦争ものはふだんあんまり読まないたちゆえ、本来なら本書は手に取らないはずなのですが、ずっと気になっていました。
『面白いぞ』という噂をよく耳や目にしていたからです。
でも、「戦争ものやしな~」と、見て見ぬふりをして、月日は流れ……。
そしたら、ラジオで書店員さんが本書を絶賛しているのを聞いてしまい、「やっぱり読まねばならぬ」と覚悟を決めてポチリました(笑)

ポチって正解◎ めちゃ面白かった!

わたし
わたし

いや、知ってたやろ~!! もっとはよ、読まんかーい(自家ツッコミ)

確かに、戦場の壮絶な描写を読むのはつらいものがあり、なかなか先に進めないページもありましたが、そういう厳しい状況の中だからこその『物語』がつまっているので、すべて含めて素晴らしいんだなと、ひしひしと感じました。

今、この平和な世界で生きていけるのは、本書のような過酷な時代を耐え、戦ってくれた先人たちのおかげなんだなと、改めて思いました。
心から感謝したいです🍀

おもしろいと思ったところ

💎日本人の作家が、アメリカ人の主人公を描くこと、そして、1983年生まれの若さで、戦争を描くこと、その大きなカベに挑んで、見事に作品を作り上げたこと。
 すべてが素晴らしい👏✨
 終わりに列挙されている、参考文献の量からして、ものすごい時間とパワーと覚悟が費やされたんだな、とうなりました。

💎主人公ティムは、ノルマンディー降下作戦で初陣を果たします。『降下』ということは、上空からパラシュートで降りる、ということ!
 その描写が実際に参加しているかのようにリアル。解説の書評家、杉江松恋さんもこう書かれています👇👇

降下場面を読むだけで、作者が描写することに並々ならぬ熱意を傾けていることがわかるだろう。厚いのである。熱いのではなくて、文章が厚い。

『戦場のコックたち』深緑野分[著]創元推理文庫 536ページ

降下するときはどんな様子だったか、どんな服を着て、どういう装備をして、コック兵ならではの持ち物はなんであったか、その取り付け方まで詳細に書かれています。
まるで、ティムたちと一緒に輸送機に押し込まれているかのような気分になるくらい、リアルな描写が見事でした。

💎その、ノルマンディー降下作戦から始まる、連合軍の侵攻作戦は、史実を元に描かれているので、「こういうことがあったのか……」と学びになりました。

💎そんな、戦争に全然くわしくないわたしですが、戦争映画はこれまでわりと観てきました。
 その記憶とも絡み合って、「あの映画で描かれていた頃、別の場所ではティムのようにがんばっていたコック兵がいたんだな」と不思議な気持ちになりました。

映画も小説も、架空の世界なのですが、架空と架空が掛け算になって、逆によりリアルで立体的な戦場の情景が浮かんできました。

💎コック兵という主人公の設定が、おもしろい!
 そして、戦地で起こる不可解な出来事を、仲間のエドの謎解きによって解明されていく、ミステリー小説としてもおもしろい!

わたし
わたし

戦争小説が苦手なわたしでも「読もう!」と思えたのは、ミステリーの要素が入っていることが大きかったです! ちゃんとエンターテイメント的な展開もあるので、惹きこまれて読み進められ、クライマックスの落涙を体験することができました😭

💎時々出てくる、日本の状況も興味深い。
 連合軍のコック兵たちが耳にする日本の状況って、実際こういう感じだったのかな……? と考えることができたのもよかったです。
 日本人が自国の戦況を見るのとは全く違う視点を持つことも、すごく大事なんだなと気づきました。

おわりに

『戦争ものはちょっと……』と敬遠していた本書を、思い切って読んでみて、本当によかったです。

本書を、ぬくぬくとしたこたつで読んでいることが、奇跡のように感じました。
この平和を作ってくれた、たくさんの人たちに、心からの感謝を送りたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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