『ワニの町へ来たスパイ』ジャナ・デリオン[著]島村浩子[訳]創元推理文庫
本の大まかな内容
若くて美しく、凄腕でもあるCIAの秘密工作員のレディング(通称フォーチュン)は、潜入任務で派手に暴れたせいで、狙われる身となってしまい、ルイジアナの田舎町で、まったくの別人となって一時潜伏することに。
自分とは正反対の、おとなしい女性になって静かに暮らすはずが、到着初日に、住む家の裏川で人骨を発見してしまう。
そして、その町の老婦人たちに焚きつけれながら、人骨事件の真相を追うことになり……。

本の感想

スパイもので、翻訳のミステリー小説と聞くと、気合を入れて読まなくちゃ、という感じがしそうですが、本書はそんな身構えまったく必要ない。
軽快なタッチで書かれていて、スイスイと読み進められます!
そして、その物語の世界へ入って行くと、破天荒で無鉄砲なキャラクターたちに惹き込まれ、いつのまにかもうページをめくる手が止まらなくなっていました。
翻訳ものの小説は、その空気感とかで読みにくかったりすることもあるので、本書は大丈夫かな? とちょっとドキドキして読み始めましたが、そんな心配は無用でした!
心地がいいほど、読みやすくて、魅力的な小説でした!!

ジェンダー問題も描かれており、現代的で好感をもてるいい作品だと思いました!

おもしろいと思ったところ

💎魅力的なキャラクターから目を離せない!
主人公のフォーチュンもさることながら、ルイジアナの田舎町で出会う、老婦人のアイダ・ベルと、ガーティがすごくいい👍✨
💎『田舎町の老婦人』というイメージからは程遠い、パワフルで破天荒な2人がフォーチュンを、事件に引きずりこみます。
💎若くて美しいCIAのスパイで、腕にも自信があるフォーチュンが、ワニがいる泥川に落ちたり、数量限定の絶品プディングのために全力疾走させられたり、けっこうムチャさせられるのも面白ポイント!
💎文句を言いつつも、危険をかえりみず、老婦人たちに協力しながら、事件の真相を探ろうとするフォーチュンという人も、素敵だなと好感を抱きました✨
💎個人的にすごく好きになった登場人物は、フォーチュンがこの田舎町で住む家の前の住人、マージ・ブードロー。
(フォーチュンは、このマージおばあちゃんが亡くなったので、姪となって一時潜伏することになったのです)
このおばあちゃんの生きてきた歴史も明かされてくると、ますますこの小説が魅力的になっていきます✨
💎そのあたりから、田舎町の老婦人であるアイダ・ベルとガーティが、なぜ、こんなにパワフルなのか、その真相もわかってきます。その流れにも惹きこまれました。
💎ジェンダー問題にも踏み込んで描いていて、そこもいいなと思いました。
おわりに
本書が日本初紹介となる著者のジャナ・デリオンは、故郷であるルイジアナやその周辺を舞台とした、複数のシリーズを書いています。
本書が第一作である<ミス・フォーチュン・ミステリ>は人気のシリーズで、今(2022年1月現在)日本では4作刊行されています。
いろんなブックレビューを見ても、どれも高得点がつけられていて、期待がふくらみます!

上から2作目、3作目、4作目です! 読むのがめちゃ楽しみ✨
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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