『心に残る物語 日本文学秀作選 魂がふるえるとき』宮本輝編 文春文庫
本の大まかな内容
作家・宮本輝が推し短編小説を16編セレクト。開高健から始まり、川端康成、幸田露伴、泉鏡花などなど、大作家がのこした隠れた名短編を集結させた、貴重でお得な一冊。
こんな方におすすめ!
◎昔の名短編小説を読みたい方
◎宝物を見つけるのが好きな方
◎樋口一葉や國木田独歩など、名前は知っているけど読んだことがない昔の名作家の小説にチャレンジしてみたい方

名作家が選ぶ名短編小説集! 面白くないわけがない確実なお墨付き、本当にありがたい😂

こんなお得な短編集があったなんて!

本書は、人気作家の宮本輝さんが、自分が好きな短編小説を集めて、文庫本に収めた一冊です。
この本の存在を知ったのは、私の生き方のメンター(師匠)と思っている、『年収90万円でハッピーライフ』の著者、大原扁理さんのブログに、『面白かった本』と書かれていたから。
以前、このブログでも書いた山田詠美さんの『晩年の子供』という本も、大原扁理さんきっかけで読み、すごく面白かったので、本書『魂がふるえるとき』も期待して読みましたが、やっぱり面白かった!
さすがたくさんの本を読んでいるメンターがすすめる本だわ……と納得してしまいました✨

まさに本書も、本のことを知り尽くした、第一線でずっと書かれている作家がおすすめする短編集なので、面白くないわけがないんですよね!
宮本さんが選んだ基準は『大人でなければその深さがわからないもの』

宮本さんは、若い人から「いい小説を読みたいのですが、宮本さんはどんな小説を勧めますか?」と訊かれることがたまにあり、そのたびに、若い人にも読みやすくて、途中で投げ出さないような、無難な作品を選んでしまっていたけれど、あるときから、相手が読もうが読まないが、自分が好きな小説を教えてあげればそれでいいのだと思うようになったそうです。
そんな話を編集者たちとしていたところから、本書の企画が決まったのだそう。
そして、いざ選ぶとなったときに、いろいろ考えて決めた、本の尺度は『おとなでなければその深さがわからないもの』。
本書に入っている、永井荷風の『ひかげの花』を読んだときについて、宮本さんはこう書かれています。
三十代の初めに再読したとき、最後の、塚山に届いたおたみからの手紙で、あの時代に娼婦として生きる女の考え方や、世の処し方に、なんだか呆気なく突き放された気持になり、この小説の凄味を知った。
『心に残る物語 日本文学秀作選 魂がふるえるとき』宮本輝編 文春文庫 374ページ

もう十分大人のわたしだから、初めて読んだだけでもその凄味を感じられたのかしら? 大人の読書は楽しいですね✨

おもいがけず、好きな作家の未読作品に出会える幸せ

個人的には、好きな作家である、永井荷風と武田泰淳の短編があったことも、すごくうれしい出会いでした😂
お二人の小説は、いろいろ読んできたつもりでしたが、本書に入っていた短編は初めて目にする作品でした。
本書に収録されている短編小説はすべて、全集からピックアップしたもの。
全集に入っている小説と出会うのは、正直むずかしい……。
だからこうして、気軽に手に取った文庫本で、おもいがけず好きな作家の読んだことのない小説に出会うことができて、宝物を見つけたような幸せな気持ちになりました✨
特に惹き込まれた一編、永井荷風の『ひかげの花』
宮本さんも、あとがきで『永井荷風の作品でいちばん好き』と書かれていましたが、永井荷風の『ひかげの花』は、惹き込まれて読みました。
シンプルにいうと、ひも男のお話なのですが💦 それがなぜか憎めなくて、目が離せない💦
働きたくない男が、働かないでいるために、どう女性にとりこみ、稼いでもらうようにうながすかと、相手の口調をよんで、出方を考えたりする様子が面白い。
そして、その女性は、男とともに生きることを選び、ゆっくりと着実に身を落としていく……。その女性の心境も淡々と書かれていて面白い。
でもけして、暗くない。そこもいい!
この小説は、昭和9年に「中央公論」に発表されました。
こういういい小説が、年号が2つも変わった令和の時代に、文庫本で気軽に読めることがすごい!
素晴らしい本を発行してくれて、ありがとうございます! と声を大にして言います😭
⚠️中古本か図書館になります🙇🏻♀️が、ぜひ読んでみてください!
まとめ
今回は、短編集について、書かせていただきました。
読む本に迷ったら、本をよく知っている人がおすすめするものを読むのが、いい本に出会える近道ですね!
本書のシリーズは、宮本輝選以外にも、浅田次郎選、山田詠美選、桐野夏生選なども出ています!
本選びの参考にしてもらえたら、うれしいです!(⚠️浅田次郎編だけは、新本を購入できます🙇🏻♀️)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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