『グラッサー博士の選択理論 幸せな人間関係を築くために』ウィリアム・グラッサー[著]アチーブメント出版
本の大まかな内容
この世界は、相手を自分の思い通りにさせようとする『外的コントロール心理学』が蔓延している。
虐待やDV、非行にはしる少年少女、あらゆるハラスメントが絶えないのはそのせい。
本書が教えてくれる『選択理論』は『内的コントロール心理学』。
自分がコントロールできるのは自分だけということ、そして、自分たちの行動のすべてを自らが選んでいることを、わかりやすく説いてくれる。
今まで『常識』だと思っていた、恋人とのやりとりや、子どものしつけ、教育の仕方などが、くつがえってしまいます。
『選択理論』を実践したその先には、幸せな人間関係が待っています。
こんな方におすすめ!
◎人間関係で悩んでいる方
◎カウンセラーに興味がある方
◎子育て中の方、教育関係の方

相手をコントロールしようとしたときから、不幸が始まる……😱
本書の中の具体的な例を読めば、その通りだと、心から理解できました✨

世界は外的コントロールに満ちている

著者のグラッサー博士は、精神科医として40年間の経験を通して、不幸な人はすべて同じ問題を抱えている、と本書で書かれています。
同じ問題とは、仲良くしたいと思っている人と仲良くできない、ということ。
その大きな原因は、これまでずっと定着している心理学が失敗しているから。
その心理学が、『外的コントロール心理学』なのです。
世間が使う外的コントロール心理学の簡単な前提は、「悪いことをしている人は罰せよ。そうすれば彼らは私たちが正しいということをするだろう。そして報酬を与えよ。そうすれば彼らは私たちが望むことをしてくれるであろう」。この考えが地上のほとんどの人の考えを支配している。
『グラッサー博士の選択理論 幸せな人間関係を築くために』ウィリアム・グラッサー[著]柿谷正期[訳]アチーブメント出版
なぜ、この考えが根強く浸透し続けているのか? その理由は↓↓↓
権力を持つ人とは ⇒ 政府の要人、親、教師、企業の管理者など
彼らが、物事の善悪を決定している👿
↓↓↓
コントロールされる側の人々は、自分の人生をほとんどコントロールできないので、権力のある人々のコントロールを受け入れることにやすらぎを見いだしている
⇒ それが不幸を作り出していることに誰も気づいていない
わたしたちが幸せになるためには、『外的コントロール心理学』をやめて、『内的コントロール心理学』に変えればいい👇👇👇
コントロールできるのは、自分だけ
わたしたちは、いろんな場面で相手を動かそうとしています。例えば↓↓↓
・勉強しない子供には ⇒ 外出禁止という罰を与える(そうすれば、勉強するだろう)
・ゴミ出ししてくれない夫には ⇒ 文句を言い続ける(そうすれば、わかってくれるだろう)
・ミスをした社員には ⇒ 給料を下げる(そうすれば、ミスしなくなるだろう)
↑↑↑
これが、外的コントロール心理学の考え方です👿
この例を見てもわかるように、外的コントロール心理学を実践すれば、今よりもきっと良くなるとカッコ書きの中のようなことを期待するのですが、そうはなりません↓↓↓
✖子供はもっと勉強しなくなる
✖夫は、妻の話を聞かなくなる
✖社員はやる気をなくす
と、まったく逆の効果が発揮されます👿
外的コントロールを信奉することは、それによって私たちが解決しようとしている問題をつくりだすだけでなく、問題の解決にも使われることで、害を倍増させる。罰に効果がなければ、罰はさらに強化される。これでは人間関係に発展が見られないのも不思議ではない。
『グラッサー博士の選択理論 幸せな人間関係を築くために』ウィリアム・グラッサー[著] [訳]アチーブメント出版
人間関係がこじれる前に、予防するのが一番いい。そのために👇👇👇
選択理論は『行動』を選択する

選択理論では、体の動かし方が重要だと書いています👇👇👇
①行為・・・歩く、話す、食べるなど
②思考・・・わたしたちは、いつも何かを考えている
③感情・・・行動するとき、いつでも何かを感じている
④生理反応・心臓の鼓動、呼吸、脳の働きなど
これら4つの要素がすべて同時に機能しているので、『全行動』と言い換えています。
この『全行動』の中で、わたしたちはいろいろなことを選択しています。
『苦痛』も選択している
たとえば、大失恋したとします。そんなとき、多くの人が『落ち込み』ます。
感情なので、自然な心の動きとして『落ち込んでいる』と思ってしまいます。
でも、選択理論では『落ち込み』を選択している と言います。
選択するのは『落ち込み』などの感情だけではありません。
精神病の不安神経症なら『不安の選択』をしている、恐怖症なら『恐怖の選択』をしている、と表現されます。
最初はこのような名前は煩わしい印象を与えるかもしれないが、慣れてくると自然になる。伝統的な表現よりも正確である。なぜなら、受け身ではないからだ。こうしたものが選択の結果であると考えると、希望がある。一つの選択ができるなら、別のもっと良い選択をすることもできる。あなたの選択は痛みを伴うものであるかもしれないが、変えられないものではない。
『グラッサー博士の選択理論 幸せな人間関係を築くために』ウィリアム・グラッサー[著] 柿谷正期 [訳]アチーブメント出版
動詞が選択という言葉と結びつくと、ただちに選択理論の基本的な考えにふれることになる。あなたは今、自分のしていることを選択しているのだ。
『グラッサー博士の選択理論 幸せな人間関係を築くために』ウィリアム・グラッサー[著] 柿谷正期 [訳]アチーブメント出版
自分が『落ち込み』を選んでいる、と考えることができれば、大失恋してものすごくキズついたとしても、いつまでも『落ち込み』を選び続けるのはバカらしくなるのでは?
自分が選んでいる、という動詞にしたら、たとえ大失恋してキズついたとしても犠牲者にならず、運命の鍵を握っているのは自分だ、と思えるのではないでしょうか。

こういう考え方を自分に定着させるだけで、外的コントロールから抜けられて、幸せを築くことができるのですね✨

『落ち込み』を選択して『怒り』を抑える

でももし、キズついたときに『落ち込み』ではなく、『怒り』を選択していたら、どうなるでしょう?
頭に血が上って、『相手が悪い』と決めつけ、相手の家に乗り込んで、包丁を振り回す……なんてことをしでかす可能性もあります😱💦
効果的なコントロールが得られないとき、私たちはいつでも、すぐに「怒り」という生まれ持った全行動を実行することを考える。
『グラッサー博士の選択理論 幸せな人間関係を築くために』ウィリアム・グラッサー[著] 柿谷正期 [訳]アチーブメント出版
と、本書にも書かれています。殺人や傷害事件は、大人が『怒り』を選択し、行動に移してしまった結果であると。
私たちは気づいていないけれども、落ち込みは、怒りを抑えるために人間の考えついた最も強力な方法の一つである。
『グラッサー博士の選択理論 幸せな人間関係を築くために』ウィリアム・グラッサー[著] 柿谷正期 [訳]アチーブメント出版
強い落ち込み
↓↓↓
みじめな感情
↓↓↓
大きな疲労感
↓↓↓
何をする気力もない
👇👇👇
暴力を抑えている

落ち込むって、ネガティブなイメージしかなかったけど、こんないい面があったんですね✨
⚠️ひどい落ち込み状態から抜け出せないときは要注意だと、本書には詳しく書かれています。
まとめ
この記事で取り上げた『全行動』や、動詞を選択することなど、選択理論心理学の重要なポイントについて、本書では、具体的なカウンセリングのやりとりが掲載されています。
これは、読み物としても面白いし、人が変わっていくのが見られて、ドラマのワンシーンのように惹きこまれました。
そして、カウンセラーをしている方や、目指している方にとっては、カウンセリングの勉強になる、貴重な参考書になると思います。
『選択理論心理学』は、アドラー心理学とも共通する面があり、心の底から納得できる考え方でした!
分厚い本ですが、とてもおすすめです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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