『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』ダン・アリエリー著 ハヤカワ文庫NF
本の大まかな内容
世間を騒がすような大企業の「不正」はどうして起こるのだろう? というギモンを持った著者が、
さまざまな実験を積み重ねて、その正体を解き明かしていく。
行動経済学の第一人者が考える、誰もがやってしまう「ずる」の仕組みや防止策とは?
「不正」や「ずる」は、身近にあって、誰でもやってしまうもの。
その正体を知ることで、未然に防ぐ対策法も得られました!!
◎「行動経済学」について、知りたい方
◎世の中の「不正」がなぜ起こるのか、知りたい方
◎偽ブランドのモノを持っている方、買おうとしている方

「不正」なんて、遠い世界の話でしょ、と思っていたけど、全然違った~めちゃくちゃ身近だった~
という、驚きの連続でした😲💦

「不正」の根幹にある『希望的盲目』
著者が「不正」に興味を持ったのは、ジョンという男性との出会いからでした。
話していくうちに、ジョンが、エンロンという会社のコンサルタントをしていたと知ります。
エンロンとは、2001年に巨額の粉飾決算が発覚し倒産した、アメリカの総合エネルギー会社。
そのエンロンでずっと働いていたジョンは、言いました👇👇
・エンロンは、革新的ないい会社だと思っていた。
・でも、事実が発覚したあとは、どうしてそれまで兆候を見落としていたのか、自分でも信じられない。
・そして、この「不正」は、経営トップたち大悪党が引き起こした事件というよりも、『希望的盲目』だった。
それを聞いた著者は、こう思います👇👇
もちろん、ジョンを始めエンロンの関係者全員が、心底腐敗していたということも、可能性としてはある。しかしわたしはこう考えるようになった。ひょっとすると、ここでは違う種類の不正が行われていたのかもしれない。それは希望的盲目に近いもので、ジョンやあなたやわたしのような、ふつうの人たちが行うような不正だ。
「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」 ダン・エリアリー著 櫻井裕子訳 ハヤカワ・ノンフィクション文庫 11ページ
・大事な約束に遅刻しそうだ
↓↓↓
・駐車場が見つからない
↓↓↓
・違法駐車してしまえ みたいなこと💦
人を「不正」に向かわせる本当の力を明らかにし、この正しい理解をもとに「不正」を減らしていこう、というのが、この本のねらいだと、著者は書いています。
人は、どうやって「ずる」するのか?
著者たちは、「不正」の正体解明のためにまず、このような実験を行いました。
協力者に数字探しのテストを受けてもらい、正解の分だけ報酬を与える、という実験です。
同じテストですが、報酬の受け取り方が2種類あります。
①ごまかしのチャンスがないもの(協力者は、実験者に答え合わせをしてもらい、報酬をもらえる)
②ごまかしのチャンスがあるもの(協力者は、正答数を自分で数え、用紙を破棄して、成績を申告し報酬をもらえる)
ごまかせる②は、20問中6問
.
結果 ⇒ ごまかしができる②の状況にいた大多数の人が、ちょっとだけ水増しをした

この結果は、ショックでした…😨
でももし、自分が②の状況にいたら、ごまかすのかな??

人は、本当に「奥深い」
上記の水増しの結果を見ると、人間って、すきあらば「ずる」してやろうと思っているのか…と悲しくなってしまいそうですが、下記の実験の結果は、少し様相をみせました。
見つかる確率を減らしたら、もっと「ずる」をするのか?
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水増しが増えると予想されたが、結果は
⇒ 正答率は、前のテストと変わらなかった でした。
この結果の裏づけのために、著者たちは、市場でも実験をすることに👇👇
「トマトを2キロ用意しておいてください。10分後で取りに来ます」という買い物をする。
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目の不自由な客の方に、見栄えの悪いトマトを入れるのでは、と予想されたが、結果は
⇒ 健常者の客よりも、質の高いトマトが入っていた。
つまり売り手はわざわざ労をとって、またいくらかの売り上げを犠牲にしてまで、目の不自由な顧客のために、より高い品質の農産物を選んでくれたのだ。
「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」 ダン・エリアリー著 櫻井裕子訳 ハヤカワ・ノンフィクション文庫 36ページ
著者たちは、タクシードライバーに対しても、市場と似たような実験をしたが、同じ結果が出ました。
これらの実験結果から、「すごく奥深いことが起きている」と著者は考えました。それは👇👇
・でも、見つかる確率が低くても、単純に「得しよう」とはしない
そんな相反する思いを持つわたしたちの行動とはなんだろう? と、このあともたくさんの実験を行い、探ってきます。

その実験がどれも面白い!! 費用も時間もアイデアも必要な、絶妙な実験をたくさんしてくれて、ありがとうって、言いたいです😂✨
『行動経済学』のブックレビューは、こちらもあります👇👇👇

特に、興味深かった実験
そのほかにも、興味深かった実験は、下記の2つでした。
⇒結果は、最初に書く方がごまかしが少なかった!
⇒本物のブランドを持った人より、倍以上のごまかしをした!!

特に、偽ブランドの実験は、ゾッとしました😨
自分は関係ないと思っていたけど、「不正」はずっと身近なところに隠れてることを知ることができ、
そして、『署名を最初に書く』などの防止策も学べて、本当に勉強になる一冊でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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