人口の半分を無視したら、どうなるかを描いた本『存在しない女たち』【おすすめ本】【ジェンダー問題】

『存在しない女たち』サムネ画像ブックレビュー

こんな方におすすめです
◎ジェンダーについて、知識を深めたい方
◎ニュースでは語られない、世界の現実を知りたい方

あまりにもひどい『現実』に、驚きと憤りが止まらない衝撃の一冊です。

本の大まかな内容

都市計画や、職場環境、交通機関、公共トイレなど、男性のデータを『デフォルト』としてつくられたあらゆるもののせいで、女性たちがどのような被害に遭っているか。そして、なぜ改善されないのか。
世界の女性の生きづらさを表舞台に出し、変革を呼びかける一冊。

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女性不在の、データにおけるジェンダー・ギャップ

人類史という長い歴史の中で、人類の生態=男性の生態とされ、女性は無視されてきた……そんな文章から始まるこの本は、これまで隠されてきた事実を次々と明らかにしていきます。

隠されてきた事実とは、これまで出されてきたあらゆるデータは、男性優位に作られ、女性は入っていなかったということ。

人類の半数を無視して作られたデータを元にして、いろいろな基準が設定されて、結果、女性に厳しい環境をしいられることになりました。

たとえば、
◆自動車事故に遭った際、安全装置が女性の体格を考慮していなかった
◆心臓発作の兆候があるにもかかわらず、女性の症状は「非定型的」な症例とみなされて正しい診断が下されない
◆オフィスの室温は、女性の適温より平均2.8度も低い

など、真夏に分厚いカーディガンを着こまないと仕事ができなかったりする場合から、命にかかわることまで、不公平と言わざるを得ない『現実』に直面しています。

この他にも、公共トイレや交通機関での大きな問題について、くわしく書かれています。

まずは、『知る』ことが大事。
テレビのニュースでは入ってこない『実際の状況』を『知る』ことによって、次の行動が変わってくると思います。
知ってると知らないとでは、今後の人生も違ってくるはずです。

女性を無視したツケは、結局無視した側にまわってくる

たとえば、ひとけのない危険なバス停に、警備員を常駐させる、などの改善策を要求しても、予算を理由に却下される例が多いのですが、解決策はほかにもあると、この本の中で書かれていました。
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◇バス停にデジタル式の時刻表を取り付ける(いつ来るかわからないバスを、危険なバス停で待たなくてもいい)
◇バス停の位置を、人の出入りが多い建物の前に移動する
◇夜間だけ、降りる場所をリクエスト制にできる(人通りが少ないバス停で降りる危険性を回避する)

上記の解決策は、たいした費用がかからないので、導入もむずかしくないと思うのですが、
そういう交通機関を含む、都市計画のあらゆる分野において、データが不足しているため、
〚女性のニーズを考慮に入れたインフラ計画の作成が困難になっている〛
のだそうです。

改善する経費よりも、改善しなかった方が高くつく

予算などを理由に改善策をとらなかった場合、被害者への医療費や心的問題にかかる費用、そして、働けていた人が働けなくなった経済的損失もあり、結局高くつく、という例があります。

女子スポーツへの支援を怠った場合
◆スウェーデンのヨーテボリ市では、助成金の大半は、男性中心の団体スポーツに割り当てられていた
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女性は、金銭的に余裕がなければスポーツができない
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女子は思春期を迎えるまえに運動を始めることが、将来の骨粗鬆症のリスクを減らす効果がある
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◆ヨーテボリ市では毎年、転倒による骨折が推定で約1000件発生(4分の3が女性)
医療費は1億5000万クローナ(日本円で18億2300万円)
内、女性の医療費1億1000万円(日本円で13億3700万円)
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市が、女子スポーツへの助成金を1500万クローナ増やせば、骨粗鬆症による将来の骨折を14%減らすことができ、投資分の元が取れる
わたし
わたし

骨折する女性を増やして、医療費が高くなる未来より、今、女子スポーツに投資した方が、結局節税になる✨ みんなが幸せになる税金の使い方はもうわかってる! 

女がやってあたりまえの、無償労働

『名もなき家事』という言葉が話題になりましたが、この本の中でも、女性の無償労働について、くわしく書かれています。

世界的に見ても、無償労働の75%は女性が担っている。
女性 ⇒ 毎日3~6時間
男性 ⇒ 毎日30分~2時間

こうした格差は子どものころから始まり(5歳の少女でさえ、兄弟たちよりも家の手伝いをよくする)、年齢とともに差が広がっていく。男性による無償労働時間が最も長い国(デンマーク)の男性たちでさえ、女性による無償労働時間が最も短い国(ノルウェー)の女性たちにくらべれば、無償労働時間は短い。

「存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く」キャロライン・クリアド=ペレス著 神崎朗子訳 河出書房新社 85ページ

わたし
わたし

さらに!!

女性の雇用労働が増えても、男性の無償労働は増えなかった
↓↓↓
結局、女性の働く時間が増えている
『名もなき家事』と言われるように、女性たちがやっている仕事は『見えていない』のだ

こういった女性の『費用のかからない労働力』は、経済的価値があると誰もが認めながらも、『国の経済(国内総生産GDP)』には含まれていないそうです。
うっかり見落としたのではなく、活発な論議の結果、そう決めた。そして、データ収集についても、『膨大な手間がかかる』という理由で測定されていないそうです…。

女性たちの無償労働は、社会を支え、社会に利益をもたらしているものだ。私たちの税金で運営されている、保育や介護などの公共サービスを政府が削減したところで、サービスの需要がなくなるわけではない。その負担は女性たちの肩にのしかかり、女性の雇用労働参加率にも悪影響が生じ、GDPも減少する。女性の無償労働はたんなる「選択」の問題ではなく、私たちがつくり上げた制度に組み込まれてしまっているのだ。だったら、それを取り外すのも簡単なことだ。私たちに必要なのは、ただちにデータの収集を開始し、男性中心主義のまやかしをやめ、現実にもとづいて経済をデザインしようとする意志だけなのだ。

「存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く」キャロライン・クリアド=ペレス著 神崎朗子訳 河出書房新社 282ページ

わたし
わたし

『取り外すのは簡単なこと』とはいえ、自分に何かできることはないだろうか? この『現状』を気づいたわたしたちは、次に何をすればいいのだろう?

投票に行こう!

この本を読んで、自分に何ができるかな? と考えました。
あまりにも大きな問題すぎて、一個人には何にもできないのではないか、とあきらめかけましたが、ひとつ思い浮かびました。それは、

選挙の投票に行くこと!

絶対に女性候補に入れよう、という単純なことではなくて、
候補者が、どういうことをしようとしている人なのかをちゃんと知って、女性のことや、生きづらいと感じでいる人のことをちゃんと考えている人に一票を投じようと、思いました。

わたし
わたし

これなら、選挙権を持っていれば誰でもできる!

おわりに

ジェンダーのことを表立って言うと、うるさがる男性が多いことはわかっています。
でも、自分が女性になったとして、一度この本を読んでみてほしいです。
怖くて、外出するのが嫌になりますよ。

自分が女性になったと考えるのがむずかしかったら、こう想像してみてください。
この本に出てくる女性があなたの身近な人、奥さんや恋人、娘さん、妹や姉、母親、女友達であるかもしれないと。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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